Ben Watt / Hendra(2014,UK)

元エブリシング・バット・ザ・ガールのベン・ワット、31年ぶりの2nd.ソロ・アルバム。

ヘンドラ

ヘンドラ

 

 エブリシング・バット・ザ・ガールと言えば、オシャレなやつが聞く音楽という印象が強いが、思い出す話がある。

1998年に中国上海に滞在していた時、准海路の露店で、中国ロックのカセットを適当に2本ジャケ買いした。ひとつは、張楚というアーチスト、そしてもうひとつは、おどろおどろしいジャケットの、面孔というバンド。2つとも、全く知らないものである。宿に帰り、同じ部屋のスカしたイギリス人が持っていたラジカセで聞かせてもらうことにした。

1本目の張楚は、フォークっぽい音楽だった。

「これ、日本の?」とイギリス人が聞く。

「いや違う。中国ロックだよ。」

「中国にロックがあるの?」

「もちろん、あるよ。崔健とか、知らない?」

「知らない。」

2本目の面孔はヘヴィメタだった。ギンギンのメタルに中国語のボーカルが乗る、その音楽が聞こえて来た時、イギリス人が、いかにもバカにしたように、笑い出した。

「ギャハハ!!何これ?」

実は、僕もそのカセットには、かなりガッカリしていたのだが、イギリス人のバカにしたような笑い声を聞いていて、少し腹が立ってきた。

「アジアを馬鹿にするなよ!! じゃあお前は何聞いてるんだ?」と聞くと、彼は自慢げに1本のカセットを見せ、こう言った。

「エブリシング・バット・ザ・ガール!」